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逸般の誤家庭のネットワーク

vSphere版Catalyst 9800-CLにおけるサイジング情報とWNCd数の対応付け

仮想アプライアンスであるCatalyst 9800-CLのvSphere版にて、サイジング情報とWNCd数の対応付けを整理しました。

前提情報としてCatalyst 9800-CLのWNCd (Wireless Network Control daemon)は、OVAファイルからのデプロイ時のサイジングによって変化します。

本記事の情報は2024年03月頃の情報を元にしており、当時の最新のVersionは v17.13.1 です。

vSphere版Catalyst 9800-CLのサイジング情報

サイジングの情報は表形式で下記の画像にまとめました。 OVAからデプロイする際のCapacityとDescriptionの情報に、OVA template sizeを紐付けたものです。

vSphere版Catalyst 9800-CLのサイジング情報

サイジング情報はデプロイ後でも show platform software system all のコマンドによって取得できます。

wlc01# show platform software system all
Controller Details:
=================
VM Template: medium
Throughput Profile: high
AP Scale: 3000
Client Scale: 32000
WNCD instances: 3

<snip>

vSphere版Catalyst 9800-CLのWNCd数

WNCd数はVM template/Scaleの small, medium, large によって決まります。

vSphere版Catalyst 9800-CLのWNCd数

OVA template size VM template Throughput Profile WNCD instances
Ultra-Low small low 1
Small (Low Throughput) small low 1
Small (High Throughput) small high 1
Medium (Low Throughput) medium low 3
Medium (High Throughput) medium high 3
Large (Low Throughput) large low 7
Large (High Throughput) large high 7
Large (App Heavy) large high 7
Large (App Heavy High Throughput) large high 7

WNCd数は show processes platform | include wncd のコマンドで確認できます。

wlc01# show processes platform | include wncd
 14986   14654  S           255492  wncd_0                
 15264   14903  S           255536  wncd_1                
 15601   15204  S           256080  wncd_2                
wlc01#

関連ドキュメント

サイジング情報の情報源

サイジング情報はCatalyst 9800-CLのData Sheetで最新の状況を確認してください。

www.cisco.com

WNCd数の情報源

WNCd数の情報源はCatalyst 9800のBest Practicesより Designing with site tags in mind セクションを参照してください。

https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/wireless/catalyst-9800-series-wireless-controllers/guide-c07-743627.html#Designingwithsitetagsinmind

WNCd数とSite Tagの関係性を意識して設計を行うのが好ましい都合で、間接的にWNCd数が暗示される形になっています。なお、WNCd数が1のものは表に記載がありません。

Cisco Catalyst 9800 Series Configuration Best Practices - Cisco (2024年03月10日時点)

Catalyst 9100 (Lightweight CAPWAP Mode)のログイン情報

Cisco社の無線APであるCatalyst 9100 (Lightweight CAPWAP Mode)のログイン情報を整理します。

起動直後の初期状態

Catalyst 9100 (無線AP)が起動直後の初期状態であり、Catalyst 9800 (WLC)にJoinする前の各ログイン情報は Cisco になっています。

項目 パスワード
Username Cisco
Password Cisco
Secret (Enable) Cisco

CLIで実際にログインする際は下記のようになります。パスワード入力の文字列は視覚化しています。

User Access Verification
Username: Cisco
Password: Cisco
ap01> enable
Password: Cisco
ap01#

Catalyst 9800 (WLC)にJoin後

Catalyst 9100 (無線AP)がCatalyst 9800 (WLC)にJoinすると、所属するAP Join Profileの応じたログイン情報に変更されます。

特に個別の設定を作成していないと default-ap-profile が適用されます。 より正確にはSite Tagに紐付く AP Join Profile のデフォルト値が default-ap-profile になっております。

  • 設定個所ですが、メニュー: Configuration > Tags & Profiles > AP Join より適用対象のAP Join Profileを開いて、Management タブ > User タブ にログイン情報の設定があります。

    User Management の設定

  • 無線APがどのAP Join Profileに紐付いているかは AP Operational Configuration Viewer (関連記事リンク)を参照すると分かりやすいです。

    AP Operational Configuration Viewer による AP Join Profile の紐付きの確認

  • ちなみに Day 0 Express Setup では Create New AP Management User を設定していると、AP Join Profile: default-ap-profile にログイン情報が反映されます。

    Day 0 Express Setup の Create New AP Management User

情報源

Catalyst 9800のBest Practicesの Default AP console username and password セクションに本挙動が書かれています。

Cisco Catalyst 9800 Series Configuration Best Practices - Cisco
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/wireless/catalyst-9800-series-wireless-controllers/guide-c07-743627.html#DefaultAPconsoleusernameandpassword

関連記事

myhomenwlab.hatenablog.com

Ciscoの無線LAN製品におけるDHCP Option 43のIP Addressの16進数表記への変換 (CyberChefを利用)

Cisco無線LAN製品において無線APをWLCにJoinさせるために、DHCP Option 43を利用して無線APにWLCの情報を伝える方法があります。 そのDHCP Option 43にはWLCのIP Addressを16進数 (Hex)で指定する必要があり、ドット表記の10進数 (Dotted Decimal)からの変換が必要になります。

本記事ではCyberChefを用いて、IP Addressの16進数表記への変換を行います。

gchq.github.io

CyberChefでのデータの扱い

CyberChefは「入力されたデータ」と「Recipe」は外部に送信されないようになっています。 「Recipe」はユーザー自身が定義したロジックに相当し、今回の場合だと16進数への変換処理が該当します。

挙動が気になる方は、Webブラウザの開発者ツールを開いて適当な値を変換し、ネットワーク上にデータが流れていないのを事前に確認しておくのが良いと思います。

もちろんCyberCefのソース コードをダウンロードするための初回接続時には通信が発生するので、初回接続後に何度か変換を試してみてください。

Chromeでは F12 キーを押下して開発者ツールを開きます。

CyberChefのネットワーク通信をChromeの開発者ツールで確認

CyberChefのスタンドアローン版のダウンロード (任意)

スタンドアローン版もあります。ダウンロード時の画面に先ほどのデータの取り扱いの情報も書かれております。

CyberChefのスタンドアローン版のダウンロード (2024年03月時点)

IP Addressの16進数 (Hex)表記への変換方法

16進数への変換処理を行うには「Recipe」を書く必要があります。

CyberChefの名の通り、ユーザー自身が料理人 (Chef)となって目的/用途に応じた調理方法 (Recipe)を定義するイメージです。

IP Addressの16進数 (Hex)表記への変換方法

  1. 検索欄で Change IP format を探してダブル クリックして Recipe の欄に追加します。Drag & Dropでも追加できます。

  2. Recipe の欄に追加した Change IP format の項目を下記のように変更します。

    項目 備考
    Input format Dotted Decimal デフォルト値です。
    Output format Hex
  3. Input の欄に任意のIP Addressを入力すると、Output の欄に16進数表記で出力されます。その値をコピーして適宜利用します。

書式の変換例

変換例をいくつか記載します。

変換例#1 (IP Address: 192.168.0.123)

Input (ドット表記) Output (16進数表記)
192.168.0.123 c0a8007b

下記は変換例の情報を埋め込んだオンライン版 (Live版)への直接リンクです。

変換例#2 (Ciscoドキュメント ベース)

Ciscoのドキュメントで例示されているIP Addressで試すと変換結果の確認に使えます。

www.cisco.com

For example, suppose there are two controllers with management interface IP addresses, 192.168.10.5 and 192.168.10.20. The type is 0xf1. The length is 2 * 4 = 8 = 0x08. The IP addresses translate to c0a80a05 (192.168.10.5) and c0a80a14 (192.168.10.20). When the string is assembled, it yields f108c0a80a05c0a80a14. On the Lucent QIP DHCP server, the hex string that needs to be added to the DHCP scope is:

Input (ドット表記) Output (16進数表記)
192.168.10.5 c0a80a05
192.168.10.20 c0a80a14

Catalyst 9800のおけるFlexConnectのVLAN設定個所の整理 (ドキュメント ベース)

Catalyst 9800のおけるFlexConnectはVLANの設定個所が複数に分かれているため、どのVLAN定義がどのような理由でどの設定と紐付くかを整理します。

FlexConnectの設定は下記の Document ID:213945 を参考情報として、VLAN IDも混乱を避けるために特筆しない限りは同じものを用いています。

www.cisco.com

本記事の執筆背景

筆者がドキュメントを読んだ際に、FlexConnectの設定数が多くなりがちな中で、更には複数のVLANが登場するので設定情報を読み解くのに苦労した背景があります。 そのため、特定のドキュメントの情報を前提とした内容になってしまいますが、ドキュメントを読み解くための情報をVLAN視点で整理しました。

ドキュメント依存の情報を一先ず忘れて読みたい方は FlexConnectのVLANに関わる設定個所 のセクションから読んでください。

ドキュメントの設定例の俯瞰

FlexConnectの各種設定を俯瞰していきます。 まずは Document ID:213945 の情報に対して補足情報を追加します。 主にWLC側と無線AP側のどちらに対して定義が必要なのかの視点を付け加えています。

FlexConnect設定におけるVLANに関する補足

ドキュメントの設定では、Local Switching向けのSSIDが2つ (Flex1, Flex2)と、Central Switching向けのSSIDが1つ (Central1)があります。

ドキュメントに登場するVLANの整理

登場するVLANを整理すると下記のようになります。

項目 VLAN ID
SSID: Flex1 2685
SSID: Flex2 2686
SSID: Central1 2660
無線APのNative VLAN ID 2601

Native VLAN IDはイメージ図に明記されていないですが、ドキュメント内の画面キャプチャと設定例に記載があります。

なお、ドキュメントの設定例を流用する場合は、VLANを対象の環境と正しく確実にマッピングします。 横着して脳内変換しようとすると設定ミスの原因になります。

ドキュメントのVLAN IDの読み替え

ドキュメントのイメージ図は無線APのみにフォーカスされているので、WLCや隣接Switchなども含めたものを作図しました。

FlexConnectのVLAN設定の整理

設定の整理

ドキュメントに登場するTagやProfileを整理します。 まずは表が崩れないように画像データとして下記に掲載します。

FlexConnectの設定の整理 (Document ID: 213945 ベース)

Local Switching用途のVLANはFlex Profileに定義が必要になる点を意識してください。

同様にテキスト情報でも内容を記載します。

設定項目 設定名 VLANに関わる情報
WLAN #1 Flex1
WLAN #2 Flex2
WLAN #3 Central1
Policy Profile #1 PolicyProfileFlex1 VLAN/VLAN Group: 2685
Policy Profile #2 PolicyProfileFlex2 VLAN/VLAN Group: 2686
Policy Profile #3 PolicyProfileCentral VLAN/VLAN Group: VLAN2660
Flex Profile FlexProfileLab Native VLAN ID: 2601 , VLAN: 2685 (VLAN2685) , VLAN: 2686 (VLAN2686)
Policy Tag PolicyTag1
Site Tag FlexSite1

どの種別の設定がどのような名称と設定になっているかを横着せずに整理すると、混乱せずに済む可能性があります。

FlexConnectのVLANに関わる設定個所

FlexConnectのVLANに関わる設定個所を抜粋します。 ドキュメントの設定例で対象となるVLANも合わせて記載します。

WLC側のVLAN

WLC側のVLAN定義は (config)# vlan <id> コマンドで作成されるVLANです。
Web UIではメニュー: Configuration > Layer2 > VLANVLAN タブ が該当します。
Central SwitchingでWLCを介する通信を通すために必要です。

WLC側のVLAN

WLC側のVLAN定義 (VLAN Name)は、Policy ProfileとFlex ProfileのVLAN設定でドロップダウン リストから参照できます。

ドキュメントの設定例では VLAN 2660 (vlan-name: VLAN2660) が「WLCのInterfaceに通すVLAN」に該当します。

(FlexConnect modeのCentral Switchingだけではなく)Local modeの場合であってもWLCを介した通信となるため作成が必要なVLANとなっています。

WLCのInterface

Central SwitchingでWLCを介する通信を通すためには、WLCのInterfaceで対象のVLANを通す必要があります。
Web UIではメニュー: Configuration > Interface > Ethernet が該当します。
Trunk Modeの場合は対象のVLANを許可して通すのを忘れないようにしてください。

WLCのInterface

ドキュメントの設定例では VLAN 2660 (vlan-name: VLAN2660) が該当します。

Flex ProfileのVLAN (無線AP側のVLAN)

WCL側ではなく、無線AP側のVLAN定義はFlex Profileで行います。
Web UIではメニュー: Configuration > Tags & Profiles > Flex が該当します。

Flex Profileには General タブと VLAN タブに設定個所があります。

Flex ProfileのVLAN (無線AP側のVLAN)

下記のイメージ図はUplink側のSwitchのInterface設定とマッピングしたものです。 無線APの管理通信は capwap ap ethernet tag <id> でVLANをTag付けしない限りはUntaggedとなります。 手動変更が必要になるため一般的には無線APの管理通信にTag付けはしません。 そのため、SSIDがNative VLAN IDと紐付くと、無線APの管理通信と同じVLAN (Untagged)の所属になります。

Flex Profileと無線AP側のVLANの紐付き

ドキュメントの設定例では、

  • General タブの Native VLAN ID は VLAN 2601 が該当します。

  • VLAN タブのVLAN定義は VLAN 2685 と VLAN 2686 が該当します。

Flex Profileの General タブ

Native VLAN ID を無線APのUplink側のSwitchとNative VLAN IDを合わせる必要があります。

Flex Profileの VLAN タブ

Local Switchingで無線AP側から直接出ていく通信を通すためのVLANを定義します。
ひとつの無線APに複数のSSIDが紐付くため、それに応じてVLANも複数定義が必要になる場合があります。

Native VLAN IDを利用するのであれば VLAN タブでVLAN定義を不要にできます。 その場合はPolicy ProfileでNative VLAN IDを使用を示すために vlan-id: 1 を設定する必要があります。 しかしながら vlan-id: 1 だと VLAN 1 を指し示しているようにも見えて混乱を招く可能性があるため、明示的に VLAN タブに定義しておく手もあります。

VLAN タブでVLANを定義する際の Name はドロップダウン リストの表示は、WLC側のVLAN定義 (vlan コマンド)と同じものがリストされます。 しかし、FlexConnectのLocal Switchingの場合は、VLANの定義が必要なのは(WLC側ではなく)Flex Profile (無線AP側)の VLAN タブ上になります。

Policy ProfileのVLAN/VLAN Group

Policy ProfileのVLAN設定は、SSIDに紐付くVLANとなります。

FlexConnect Modeの場合は、Flex Profileの VLAN タブで定義しているVLANの Name もしくは ID を指定します。
ドロップダウン リストはWLC側のVLAN定義が表示されます。Flex ProfileのVLAN定義は表示されません。

Policy ProfileのVLAN/VLAN Group

VLAN定義の命名規則の一例

FlexConnect Modeでは無線AP側にVLAN定義が必要にも関わらず、Policy ProfileとFlex Profileは、WLC側のVLAN定義 (vlan コマンド)をドロップダウン リストで表示します。

そのため、WLC側のVLAN定義に「本来は無線AP側にのみ存在すべきVLAN」も一緒に作成してしまう方法があります。 ただし、そのままでは混乱を招くので命名規則でWLC側か無線AP側のどちらに反映すべきものかを示すようにします。 また、無線AP側に定義すべきものはAllowed VLAN: All の設定などで意図せず通信が流れないように SUSPENDED にしておきます。

命名の例はドキュメントにないVLANを例に用いています。

項目 命名規則 命名の例 State
WLC側のVLAN WLC_v<id> WLC_v12 , WLC_v3001 ACTIVATED
無線AP側のVLAN FLX_v<id> FLX_v34 , FLX_v4001 SUSPENDED

命名規則は筆者が考えた一例です。

  • 接頭辞を「WLC側」もしくは「無線AP側 (Flex Profile)」なのかを指し示すものにしました。

  • 数字の前にはVLAN IDであるの意味する v を小文字で入れ込んでいます。 Shift押しで大文字のまま入力できるようにする案も考えましたが、IDの一文字目を識別しやすくするために文字の主張が少なくなるように v を小文字にしました。 同様の理由で Zero Padding (ゼロ埋め)でVLANの最大桁数の4桁 (例: VLAN 12 = 0012)に揃えるのも避けました。

VLAN定義の命名規則の一例

本番環境では余計な設定を入れたくないケースが多いですが、検証環境の場合は自由が利きやすいのでCatalyst 9800初見者向けに設定方法を指し示す方法として紹介しました。

WLC側と無線AP側でVLAN Name命名規則を分けておくと、コンフィグを見るときに可読性が上がりやすいため適宜検討してください。

関連記事

VLANの指定方法には vlan-name (名称指定) と vlan-id (番号指定)があり、挙動が特殊なものも一部あります。 FlexConnectの設定にも影響するため詳細は下記の記事を参照してください。

myhomenwlab.hatenablog.com

Catalyst 9800におけるPolicy ProfileのVLANの指定方法

Catalyst 9800におけるPolicy ProfileのVLANの指定方法は vlan-name (名称指定) と vlan-id (番号指定) の2通りあります。

Configuration GuideではMode別 (Local modeとFlexConnect mode)で動作が異なるような書き方になっております。 しかし、FlexConnectの技術要素を細分化するとCentral SwitchingとLocal Switchingの通信方式があります。 そのため、Mode別と言うよりかは通信方式で動作が異なると認識した方が覚えやすいかもしれません。

条件によってVLANの割り当てが変わると混乱しやすくなるので、関連する設定などを含めて情報を整理しました。 なお、本記事の実機検証による裏付けはCatalyst 9800-CLの v17.13.1 で確認を行っております。

重要な点

混乱を避けるために重要な点を先ず記載します。

  • Policy Profileの VLAN/VLAN Group の設定項目は、通信方式がCentral Switchingの場合はWLC側 (CLIvlan コマンド)のVLAN定義を、Local Switchingの場合は無線AP側 (Flex Profile)のVLAN定義を参照します。

  • 意図しないVLANの割り当て避けたいのであれば vlan-name (名称)を指定するのが確実的です。

  • Local modeとFlexConnect modeのCentral Switchingは、ともに無線LAN端末の通信がWLCを介するため、VLANの割り当ては同じ動作に分類されます。

動作の整理

表形式で情報を整理しました。表が崩れないように画像データとして下記に掲載します。

Catalyst 9800におけるPolicy ProfileのVLANの指定方法

文字情報としても下記に同様の内容を記載します。

通信方式: Central Switching

  • 対象Mode: Local mode & FlexConnect mode Central Switching

  • vlan-name: default

    • default の名称と対応する VLAN 1 が割り当たります。
    • VLAN 1 の名称が default で固定となり、他のIDへの変更は不可です。
    • Flex Profileの方に default の名称でVLAN定義をしても参照されません。
  • vlan-name: VLAN123 ※default 以外の名称指定

    • vlan-name の名称と対応するVLAN IDが割り当たります。
  • vlan-id: 1

    • WMI (Wireless Management Interface)と同じVLANが割り当たります。
    • 例えば、WMIがSVIの Vlan123 であれば VLAN 123 が割り当たります。

通信方式: Local Switching

  • 対象Mode: FlexConnect mode Local Switching

  • vlan-name

    • Flex Profileに vlan-name と同じ名称でVLANの定義が必要です。
    • Flex ProfileのVLAN定義の名称に対応したVLAN IDが割り当たります。
    • Tagged/Untaggedの判断はFlex ProfileのNative VLAN IDに依存します。
    • Native VLAN IDと同じ場合はFlex Profileの VLAN タブでの定義は不要です。
  • vlan-id: 1

    • Flex ProfileのNative VLAN IDが割り当たります。
    • Flex ProfileにVLANの定義は不要です。

要素別の整理

VLANの割り当てに影響する要素を設定画面と一緒に整理します。

VLAN ID 1 (default) の名称は変更不可

vlan 1 の vlan-name (名称)は default で変更は不可です。そのため vlan-name: default と表記して特別視しています。

VLAN ID 1 (default) の名称は変更不可

Web UIの画面キャプチャだと VLAN ID 1 が変更不可になっているのが分かりにくいため、CLIのログを掲載しておきます。

wlc01# configure terminal
Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
wlc01(config)#
wlc01(config)# vlan 1
wlc01(config-vlan)# name RENAME_TEST
%Default VLAN 1 may not have its name changed.
wlc01(config-vlan)#

通信方式とVLANの定義

Cisco IOS/IOS-XE系の経験者には vlan コマンドでSwitchingに必要なVLANを定義するのは馴染み深いと思います。

Catalyst 9800もIOS-XE系ではありますが、WLC側と無線AP側の2つのVLANを定義する個所が出てきます。 そしてCentral/Local Switchingの通信方式の違いによって、VLANの定義が必要な個所も異なります。

通信方式とVLANの定義

WLC側のVLAN定義

Central Switchingの通信方式の場合は、WLCを介する通信となるためWLC側にVLAN定義が必要になります。 設定としては、メニュー: Configuration > Layer2 > VLAN が該当します。 CLIではCisco IOS/IOS-XE系で馴染み深い vlan コマンドに該当します。

WLC側のVLAN定義

無線AP側のVLAN定義

Local Switchingの通信方式の場合は、無線APから直接通信が出ていくため無線AP側にVLAN定義が必要になります。
設定としてはFlex Profileで無線AP側のVLANを定義します。

SSIDと紐付くPolicy ProfileのVLAN IDがNative VLAN IDと同じ場合は、Flex Profileの VLAN タブでの設定は不要です。

Flex Profileの VLAN タブに、
* Native VLAN IDを定義しているDefinedな場合は、Policy Profileから対象のVLANを指定しても動作します。
* Native VLAN IDを定義していないNot definedな場合は、Policy Profileで vlan-id: 1 を指定します。

無線AP側のVLAN定義

Policy ProfileでのVLANの参照

Policy Profileの VLAN/VLAN Group のドロップダウン リストではWLC側のVLAN定義しか選択候補に表れないので注意してください。

Policy ProfileでのVLANの参照

通信方式がCentral Switching且つWMIがRouted Portの場合

Central Switchingの通信方式の際に、Policy Profileに vlan-id: 1 を指定するとWMI (Wireless Management Interface)のVLAN IDが参照されます。 そして、WMIはSVI (Switch Virtual Interface)だけでなくRouted Portも設定可能な点に留意してください。

WMIがRouted Portの場合は VLAN ID 0 (Zero) の扱いとなって無線LAN接続に失敗しました。下記はその時のログです。

Dec 28 2023 23:13:24.392 JST: %SESSION_MGR-5-FAIL: Chassis 1 R0/0: wncd: Authorization failed or unapplied for client (****.****.****) on Interface capwap_90000005 AuditSessionID 000000000000002BB0C5D482. Failure Reason: VLAN Failure. Failed attribute name 0.

Failure Reason: VLAN Failure. Failed attribute name 0. の部分より VLAN ID 0 (Zero) を割り当てようとして失敗しているのが分かります。

通信方式がCentral Switching且つWMIがRouted Portの場合

ちなみに、一部の例外を除いてCatalyst 9800のWMIにはSVIの使用がBest Practicesで推奨されています。

Cisco Catalyst 9800 Series Configuration Best Practices - Cisco
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/wireless/catalyst-9800-series-wireless-controllers/guide-c07-743627.html#Wirelessmanagementinterface

It is recommended that you use a Switched VLAN Interface (SVI) as the WMI for all deployments, including Foreign -Anchor for guest traffic. The only exceptions would be for C9800-CL in a public cloud, where it is mandatory to use a Layer 3 port for wireless management; and for the embedded wireless in Cisco Catalyst 9000 switches, where a loopback interface is recommended.

動作が異なる故の利点

動作が異なる故の利点で、筆者が思い浮かぶものを記載しておきます。
利点の一例を挙げてるだけで活用を推奨してるわけではありません。 混乱の元にもなり得るので活用する場合は十分に検討してください。

WMIと同じVLANになる動作の利点

Central Switchingの場合に vlan-id: 1 を指定するとWMIと同じVLANが割り当たります。 Policy Profileの VLAN/VLAN Group のデフォルト値は vlan-id: 1 となるため、明示的に設定変更しなくても最低限の設定で使える状態になるのが利点です。

WMIと同じVLANになる動作の利点

Flex ProfileのNative VLAN IDと同じになる動作の利点

Local Switchingの場合に vlan-id: 1 を指定すると無線APのNative VLAN IDが割り当たります。 Native VLAN IDはどのような値であってもUntaggedとなってID情報が付与されないため、Uplink側のSwitchでは無線APの管理通信と同じように処理されます。
また、Native VLAN IDはFlex Profileの VLAN タブでVLAN定義が不要な利点があります。

システム内でのVLAN重複を避ける設計だと、拠点別に無線APのNative VLAN IDが異なってくるため、VLAN情報が異なるPolicy Profileを拠点別に作成する必要があります。 しかし本動作を利用するとUntaggedで通信するSSIDに限れば、わざわざ拠点数に比例してPolicy Profileを作成する労力が不要になります。 ただし、複数のSSIDでVLANを分けて通信を分離する必要が出てくると、設計が破綻しかねないので留意してください。

Flex ProfileのNative VLAN IDと同じになる動作の利点

無線LAN端末へのVLAN IDの割り当ての確認方法

無線LAN端末にどのVLAN IDが割り当てられたかは下記のコマンドで確認ができます。

show wireless client vlan summary

実行例を記載します。VLANVLAN name の項目を参照してください。

wlc01# show wireless client vlan summary
Number of Clients: 1

MAC Address    AP Name                                        Type ID   State             Method     Role       VLAN VLAN name
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
****.****.**** ap01                                           WLAN 1    Run               None       Local      102  VLAN102          

wlc01#

show wireless client vlan summary

情報源

Best Practices

Best Practicesの Use of VLAN 1 in a Policy Profile のセクションの記述が、後述のConfiguration Guideより明確な情報が書かれています。
特に強調すべき点は、Local ModeとFlexConnect Central Switchingが同等な点がBest Practicesでは明記されています。

Cisco Catalyst 9800 Series Configuration Best Practices - Cisco
https://www.cisco.com/c/en/us/products/collateral/wireless/catalyst-9800-series-wireless-controllers/guide-c07-743627.html#UseofVLAN1inaPolicyProfile

The behavior is different depending on the AP mode. For an AP in local mode/Flex Central switching:

● Specifying vlan-name = default, client is assigned to VLAN 1

● Using vlan-id 1, a client is assigned to the wireless management VLAN

There is a warning to remind a user of this.

For an AP in FlexConnect local switching mode:

● Specifying vlan-name = default, client is assigned to VLAN 1

● Using vlan-id 1, a client is assigned to the FlexConnect native VLAN

By default, if the user does not configure anything under the policy profile, the WLC assigns vlan-id 1 so clients will use the wireless management VLAN in local mode and the AP native VLAN for FlexConnect.

Configuration Guide

Configuration Guideでは対象Versionの Restrictions for VLANs を参照してください。下記は 17.13.x のドキュメントです。

Cisco Catalyst 9800 Series Wireless Controller Software Configuration Guide, Cisco IOS XE 17.13.x - VLANs [Cisco Catalyst 9800 Series Wireless Controllers] - Cisco
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/controller/9800/17-13/config-guide/b_wl_17_13_cg/m_config_vlan_ewlc_cg.html#id_109551

  • The behavior of VLAN 1 changes depending on the AP mode. These scenarios are described below:

    • Local mode AP: If you use vlan-name, clients are assigned to VLAN 1. However, if you use vlan-id 1, clients are assigned to the wireless management interface.

    • FlexConnect mode AP: If you use vlan-name, clients are assigned to VLAN 1. However, if you use vlan-id 1, clients are assigned to the native VLAN defined in the flex profile.

vlan-namedefault を前提とした書き方になっています。 特筆すべきなのは、どちらのModeであっても vlan-id: 1 を指定した際の動作が「他の設定に依存」する特殊な点です。

Bug Search Toolより関連情報

本件に関連する事象の情報があるため書き残しておきます。 Bugというより仕様の明確化に分類される情報だと思われます。

Catalyst 9100 (無線AP)のBaud Rateの変更

無線APであるCatalyst 9100 SeriesのBaud Rateの変更方法を書き残します。

Catalyst 9100 (無線AP)のBaud Rateの変更

Catalyst 9800のv17.12.1より、802.11AX対応無線APのBaud Rateが 9600 から 115200 に変更になっているため、9600 に戻したいケースを想定しております。

myhomenwlab.hatenablog.com

設定変更は無線APがWLCにJoinしている場合でも、無線AP (Catalyst 9100)側で実行します。

検証時の環境

ap01# show version
<snip>
AP Running Image     : 17.13.0.107
<snip>

現在のBaud Rateの確認

現在のBaud Rateの設定は show boot コマンドで確認できます。

ap01# show boot

--- Boot Variable Table ---
BOOT path-list:      part1
Console Baudrate:    115200
<snip>

Baud Rateの変更方法

無線AP側 (Catalyst 9100側)で configure boot baudrate コマンドを実行すると変更できます。 下記はヘルプでコマンドの引数を確認している例です。

ap01# configure boot baudrate ?
  115200  baudrate 115200
  9600    baudrate 9600
ap01#

Baud Rate: 115200 への変更コマンド

Baud Rate: 115200 への変更コマンドは下記です。

configure boot baudrate 115200

Baud Rate: 9600 への変更コマンド

Baud Rate: 9600 への変更コマンドは下記です。

configure boot baudrate 9600

Baud Rateの反映

Baud Rateの反映には無線APの再起動が必要になります。
show boot で設定の反映を確認した上で、サービス影響のない時間帯に reload コマンドを実行して再起動してください。

再起動によるBaud Rateの反映

情報源

Command Referenceによると config boot baudrate コマンドは Release: 8.1.111.0 から導入されています。

Cisco Catalyst 9100 Series Wi-Fi6/6E Access Point Command Reference, IOS-XE Releases - config Commands [Cisco Catalyst 9100 Access Points] - Cisco
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/wireless/access_point/ios-xe/command-reference/b-cisco-cat-ap-iosxe-cr/config_commands.html#config-boot-baudrate

ThinkPad X13 Gen 4のWindows 11 HomeをProにUpgrade

ThinkPad X13 Gen 4をWindows 11 HomeからProへUpgradeした際の情報を書き残します。

特にメーカーやモデルに依存する手順はないですが、初めてのUpgrade作業であったので必要な情報をまとめおきたい意図で書いております。

背景

ThinkPad X13 Gen 4 (第13世代Intel vPro)を購入する際に、Windows 11 Proにカスタマイズ可能なモデルが高価格帯でありました。 そのため、Windows 11 Homeのモデルで購入して、Windows 11 Proのパッケージ版のプロダクト キーを用いてUpgradを行いました。

Windows 11 Proが選択可能なモデル

今回購入したWindows 11 Homeのモデル

Windows 11のUpgradeに関する情報源

下記のドキュメントに記載がありますが、Windows 11のHomeからProへのUpgradeはプロダクト キーの変更のみで可能でした。
Microsoft Store経由の手順もありましたがアカウントへのログインが必須となるため、ProへのUpgrade後に不必要な情報が残っていない状態でイメージ バックアップを取得したいケースを鑑みて避けるようにしました。

Windows 11 Proの購入

筆者はWindows 11 Proのパッケージ版を購入しました。パッケージ版の内容物を一度見ておきたかったためです。 ThinkPadは日本語版を選んだので、パッケージ版も日本語のものを選択しております。

Windows 11 Proのパッケージ版

パッケージ版にはインストール メディアであるUSB Memoryが付属しております。しかし、プロダクト キーの変更のみでUpgradeが可能であったため、USB Memoryは実質的に未使用となりました。

Windows 11 Pro パッケージ版のUSB Memory

Windows 11 Pro パッケージ版のプロダクト キー

Windows OSは格安の偽物が出回っている話も見かけるので、価格の確認用途も兼ねて公式サイトのリンクを掲載しておきます。

www.microsoft.com

Windows 11 Homeとしての初回セットアップ

初回セットアップはHome版として進めることに留意してください。Windows 11のHome版は執拗にMicrosoftアカウントのセットアップが求められるため、無効なアカウントを入力して手順をスキップし、ローカル アカウントを作成しました。
また、ProへのUpgrade前に回復ドライブの作成も事前に行っておくのが安全です。

Upgradeの手順

  • 設定 (英語版: Settings)より システム > ライセンス認証 (英語版: System > Activation)からプロダクト キーの変更が可能です。

    ライセンスに認証画面よりプロダクト キーの変更

  • Windows 11 Proのプロダクト キーを入力します。

    プロダクト キーの入力画面

  • 表示内容をよく読んだ上で 開始 ボタンを押下します。

    確認画面

  • ライセンス認証画面でWindows 11 Proに変化していればUpgradeが完了です。

    Upgrade後の確認